LRNが実施した国際調査によると、多くの企業が行動規範のグローバル活用を積極的に進めていることがわかりました。具体的には、デジタル化や多言語対応など、従業員が利用しやすい形態への刷新が進んでいます。しかしその一方で、対応が手薄な領域もあります。多くの企業は、AIがもたらすリスクには十分に対応していないほか、社内における倫理文化の醸成の鍵となる中間管理職への投資不足も顕著です。
ではこれらの課題を解決する効果的なコンプライアンス推進フレームワークは、どのように構築すればよいのでしょうか?本記事では、コンプライアンス研修について、その重要性や年間計画策定時に押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
とくに初めてコンプライアンス研修の企画担当になった人事・総務担当者の方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
そもそもコンプライアンスとは、「法令遵守」の意味です。企業コンプライアンスという文脈では、法令遵守に加えて、公正や倫理を守るための社内規範や倫理規範の遵守も含まれます。そのため、コンプライアンス違反の領域は非常に幅広い点に留意が必要です。
たとえば利益供与・相反、贈収賄とその他の不適切な支払い、職場のハラスメント、機密および専有情報の漏えい、不正経理や粉飾決算、データの改ざん、インサイダー取引などがコンプライアンス違反の例として挙げられます。
以上を踏まえると、コンプライアンス研修とは、コンプライアンスの重要性や違反のリスク、遵守すべき法令の理解に加えて、不正行為を回避する仕組みづくりを目的とした教育プログラムです。
ステークホルダーに向けて透明性を確保し、不祥事のリスクを低減し、企業価値を一貫して伝えていくためにも、コンプライアンス研修は非常に重要といえます。定期的な実施は、結果として、法令違反の防止、従業員の意識向上、企業ブランドの向上につながるからです。
倫理・コンプライアンスの教育プログラムは、E&C(Ethics and Compliance)ソリューションとも呼ばれます。LRNは、E&Cソリューションのグローバルリーダーとして、eラーニング研修はもとより、行動規範の策定から効果測定、アドバイザリーまで包括的に提供する企業です。
LRNのコンプライアンス研修については、下記ページよりご覧いただけます。
LRNの研修コース・倫理コンプライアンス教育ページ
テクノロジーの進化に伴い、昨今では社会を取り巻く環境が複雑さを増し、想定外の出来事が次々と起こりやすい状況にあります。法令も頻繁に変更されており、コンプライアンス違反を起こしやすい状況にあるのです。
そこで、昨今の不祥事の頻発やデジタル化に伴う情報漏洩リスクの増加など、高まるリスクに対応するために、コンプライアンス研修が重要視されています。実際に、LRN の独自調査によれば、国内企業においてコンプライアンス教育への関⼼が⾼まる⼀⽅で、効果的な学習環境の構築に課題を抱えていることが明らかになりました。
ここでは、背景にある法改正や社会の変化について見ていきましょう。
帝国データバンクの統計情報によれば、2024年のコンプラ違反倒産は、2年連続過去最多の388件 を記録しました。「粉飾」倒産は過去最多、コロナ関連の「不正受給」も急増していることがわかりました。
増加傾向にあるコンプライアンス違反事例の1つが、雇用調整助成金の不正受給です。
雇用調整助成金は、職場環境や労働条件の改善にかかった経費や、業績が悪化しても雇用を維持する際の経済的支援として有用である反面、「目先のお金」に目がくらみ、不正受給に手を染めてしまう怖さもあります。故意に支給申請書に虚偽の記載や、偽りの証明を行って不正受給した場合は、全額返還を求められるほか、不正受給額の2割相当の違約金や年3分の延滞金を支払うことになります。
事業主名が公表されたことによって、企業価値や株価が⼤幅に下落した例も少なくなく、そのレピュテーションリスクは計り知れません。
国は「ビジネスと人権」に関する取り組みに力を入れており、サプライチェーンの人権尊重の取り組みも企業は強化する必要があります。さらに多様性、公平/公正性、包摂性を意味する「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」の考え方も企業価値を高めるために必須です。
AIの導入に伴い、EU AI法などAI規制の高まりにも留意しなくてはなりません。特に自動化、データ利用、バイアス、監視、そしてAIシステムにおける説明責任といった対応も企業には求められる点を押さえておきましょう。
コンプライアンスは、リスク回避を目的とした「守り」だけでなく、「攻めの経営戦略」に転じることが、企業価値を高める秘けつです。攻めのコンプライアンスとは、「自発的に」不正の芽を見つけ、事前に防ぐ取り組みのことを指します。
では具体的に、どのような施策が必要なのでしょうか。
倫理的に考え、行動する力を育むトレーニングプログラムが必要です。学んだ倫理や誠実さは、昇進や人事評価の基準として活用することで、 倫理的文化を育みましょう。定期的に行動規範を改訂することも重要です。行動規範の基準を日々の意思決定に組み込み、あらゆる部署や地域の従業員に関連性を持たせ、実行可能で、アクセスしやすい環境を整えます。
中間管理職の責任を強化し、ルールの管理から「倫理的リーダーシップ」を体現する段階へステップアップするためのプログラムへ投資することも検討しましょう。
部門横断的な調査チーム(E&Cチーム)を導入し、ケース管理を一元化することも必要です。これにより、新たなリスクへの迅速な対応を可能にし、ステークホルダーに対する透明性も確実に確保できるようになるでしょう。
研修後に不正行為の傾向を追跡したり、研修の理解度を測定したりする効果測定も不可欠です。大前提として、プログラム管理者やコンプライアンス担当者(E&Cリーダー)は、ベンチマークツール等を活用して、自社の強みと改善点を把握しなくてはなりません。
なお、コンプライアンス意識を現場に浸透させる方法については、下記ページのレポートで具体的に解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
2025年 倫理・コンプライアンスプログラムの成熟度に関するグローバル調査(日本語版)
コンプライアンス教育では、ハラスメント / 差別防⽌ 、贈収賄 / 汚職防⽌ 、データセキュリティ/プライバシー などのリスク領域を主に学習します。学習を無駄にしないためにも、チームミーティングや人事評価にE&Cに関する議論を組み込み、倫理的な企業文化を醸成していくことが重要です。
ここでは、対象者別にふさわしいコンプライアンス研修のテーマを紹介します。
コンプライアンスの基本を伝えることを目的に、新入社員向けにコンプライアンス研修を実施します。その基本とは、「法令・規範・マナーを守ることで、顧客や取引先、従業員など全てのステークホルダーからの信頼を、自社と自分を含めた従業員が維持・向上すること」です。
新入社員向けには、一般的なマナー、社内規定や就業規則の学習に加えて、下記のようなテーマがふさわしいでしょう。
管理職は、コンプライアンス研修を通じて、倫理的ジレンマを主体的に認識し、対応できるようにならなくてはなりません。リスクの把握とともに、コンプライアンス違反を起こさないための組織づくりについて事例とともに学ぶことが、管理職にとっては重要です。
経営層および中間管理職層の連携を強化することは、E&Cプログラムの信頼性を高め、組織に一貫した価値観を根付かせる推進力になります。そこでハラスメントを防止しながら、力強いリーダーシップを発揮できるように、企業は管理職向けに特化した研修を実施することも検討しましょう。
不祥事を防止するための考え方と行動のあり方など、実践的な知識の習得を目的とし、全社員向けにコンプライアンス研修を実施します。そのためには、下記のようなテーマのケーススタディが有効です。
| ▼LRNコースカタログのダウンロード LRNの詳しいコース内容については、下記よりダウンロードいただけます。 コースカタログのダウンロードはこちら |
ここでは、自社にあった効果的な研修の形式を知るために、eラーニングと集合研修のメリット・デメリットをご紹介します。
| e ラーニング | 集合研修 | |
| メリット |
いつでも/どこでも、 【受講者】
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| デメリット |
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おすすめは、対象者別に使い分ける方法です。新入社員や中途採用者向けの講座はeラーニングで行い、管理職向けの研修は、社内の知見者や外部のエキスパートを講師として招き集合研修で行うことを検討すると良いでしょう。
年間計画を策定するにあたり、次のような自社の現状を測定し把握することがプログラムの効果をあげるコツです。
現状把握ができたら、具体的な年間スケジュールに落とし込みます。一般的な日本企業では、以下のような切り口で計画を立てるケースが多く見られます。
階層別研修の実施タイミング
テーマ別研修(全社員向け)の実施タイミング
このように、「必ず実施すべき階層別研修」と「季節や社会的トレンドに合わせたテーマ別研修」を組み合わせるのが基本です。しかし、形式的にスケジュールを埋めるだけでは効果は限定的と言えます。
上記を把握しておくことで、コンプライアンス研修後の効果測定が可能になります。そこでLRNでは、文化の見直しを検討し、倫理的な文化を構築したいとお考えの企業に向け、E&C企業文化評価・分析のデモを提供しています。デモの内容は、概ね次のとおりです。
重要なことは、コンプライアンス意識の定着には、繰り返しの学習が不可欠だという点です。定期的なスケジュールを設定し、継続的に実施することで、知識の定着と意識改革を図ります。LRNのAIマイクロラーニングなら、ダイナミックでリアルなトレーニング体験を提供できるため、年間計画を作成する際に参考にしてください。
LRNが提供する最新の会話型AIマイクロラーニングについてはこちら
コンプライアンス研修の効果測定は難しいとされていますが、一般的には以下の「定量的な指標」と「定性的な指標」が用いられます。
これらは基礎的な指標として重要ですが、「実際の行動が変わったか」「企業文化として根付いたか」までは測定できないのが課題です。
そこでLRNは、コンプライアンスと文化のギャップを埋めるために、倫理・コンプライアンス管理プラットフォーム「LRN Catalyst」を提供しています。LRN Catalystは5つの製品から構成され、アクセスの集中管理やコースのカスタマイズ、データ分析に必要な KPI を容易に追跡可能です。
中でも研修の効果測定には、データ分析ツール「Catalyst Reveal」が役立ちます。LRN Catalystにより、学習者の活動データ、AI、推測を駆使したリスクの軽減と管理が可能になるのです。
Catalyst Revealは大幅な機能強化によって、「Reveal Insights」と「プログラム成熟度評価(PMA)」と呼ばれる次世代ツールが実装されています(2025年7月)。Reveal InsightsはAI生成サマリーであり、複雑なE&Cデータから簡潔で実行可能な重要点や教訓を抽出し、まとめる機能です。これにより、社内にデータ分析チームを抱えていなくても、E&Cリーダーは重要なポイントを容易に把握し、上級管理職と自信を持って共有できるようになります。
PMAは、同業他社と対比し、下記の6つの評価領域にわたってスコア化し、自社E&Cプログラムの強みと改善点をE&Cチームが明確に把握できるベンチマークツールです。
なお、2025年版PMA調査の結果は、下記リンクよりご覧になれます。
2025年 倫理・コンプライアンスプログラムの成熟度に関するグローバル調査(日本語版)国際的な調査をもとに日本企業で重要な二領域(企業文化/リスク評価と報告体制)を解説。優先順位、評価制度・通報/ケース対応の設計の要点を短時間で把握できます。自社の会議資料やコンプライアンス設計に最適です。 |
多くの企業では、ガバナンス(内部統制)、トレーニング、企業文化の測定において改善が見られる一方で、規律の一貫性、中間管理職の関与、リスクアセスメントの網羅性において、改善の余地があります。倫理・コンプライアンスを日々の意思決定に根付かせていくためには、「マネージャーの責任強化」「統合型システム導入による調査とケース管理の一元化」「経営層が掲げた倫理的価値観を中間層や現場の意思決定にまで浸透させる取り組み」がとくに必要です。
この3つのポイントを効果的に実践できるよう支援するのが、LRNのE&Cソリューションです。コンプライアンス研修を形骸化させないためにも、LRNなら次のような施策が可能になります。
LRNのコンプライアンス研修は、世界で3,000社以上の企業への導入実績があり、データ駆動型のアプローチが強みです。研修の受講状況や行動規範へのアクセスデータなどを分析し、コンプライアンスリスクを可視化し、データに基づいた戦略的な意思決定を支援します。
顧客にはHP、FedEx、Sanofiといったグローバル企業が多く、多言語・多拠点での展開に対応できる点もLRNの強みです。戦略的なコンプライアンス研修で、企業価値の向上を目指す企業のご担当者さまは、LRNまでお問い合わせくださいませ。